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時代で選ぶ - 昭和

昭和26年のキミコちゃんの絵日記を読む1

昭和26年に野之瀬小学校三年生だった当時9歳のキミコちゃんが書いた絵日記をご紹介します。野之瀬小学校は現在の櫛形西小学校です。
お父さんとお母さん、そしてお兄さんと弟との5人家族に育ったキミコちゃんは、何かしらの家の手伝いを毎日しているしっかりものの女の子です。この絵日記は昭和26年(1951)6月16日から7月1日まで毎日欠かさず書かれたもので、紐で一冊に綴じられていました。6月後半の2週間は麦刈りや田植えの行われる時期ですからちょうど農繁期休みの期間であったと考えられ、ほぼ毎日、家の仕事に勤しんでいる姿が事細かに絵に表現され、その下段に文章がしたためられています。
この絵日記には、昭和26年の櫛形地区の中野の風景や人々の暮らしを物語る細かいデティールが、キミコちゃんという絵の上手な女の子によって素晴らしく表現されています。この資料によって、私たちは、小学3年生の彼女の目や心のフィルターを通して、昭和26年の南アルプス市域におけるヤマカタ(山方)の生活というものを知り、その時代の子供の気持ちを追体験することができるような気がするのです。
[「昭和26年キミコちゃんの絵日記・表紙」(中野上田家資料・南アルプス市教育委員会文化財課蔵)]


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では、昭和26年6月16日から順にキミコちゃんの絵日記を見せてもらいましょう。
雨の中、長靴をはいて和傘を持ってお出かけする様子か描かれています。文章によると、「絵日記をかく図画紙を買いに行き、帰ってきてから帳面に作りました」とあります。洋傘にはない、和傘に特徴のカッパと呼ばれる頭紙が頂部のろくろに縛り付けられている様をキミコちゃんは忠実に絵で描きあらわしていますね。
[「昭和26年キミコちゃんの絵日記・6月16日(土)雨」(中野上田家資料・南アルプス市教育委員会文化財課蔵)]
これは養蚕のお手伝いの絵ですね。回転蔟(かいてんまぶし)とよばれる、蚕に繭を作らせた格子状の道具から、繭を手でもぎ取って収穫する様子を描いています。文にも「お母さんに頼まれて朝から繭もぎ(原文:「めえもぎ」)の手伝いをした。お茶休憩になって飴をもらった」とかいてあります。
昭和20年代にこの地域で養蚕が行われていたこと、絵にあるような道具を使って蚕に繭を作らせていたこと、6月の半ばに春蚕が収穫できたことなど様々な当時の養蚕に関する情報を伝えてくれています。現在、私たちの身近なところになく想像しがたい養蚕という生業ですが、これが絵と文で表現されており、とても興味深いです。
[「昭和26年キミコちゃんの絵日記・6月17日(日)晴」(中野上田家資料・南アルプス市教育委員会文化財課蔵)]
[「回転蔟」]
 山梨県竜王の斎藤直恵が大正15年に発明した養蚕道具のひとつ。蚕が上に上る習性を利用して効率的に繭を作らせるための器具。蚕が上部に集まるとその重みでくるりと回転し、区画された一枚の蔟全体に繭を作らせることができる。
こちらは女の子3人で立ち話をしている絵ですね。キミコちゃんのお家は中野の棚田の最上部に近い所にありますから、バックには青い空にぽかんと浮かぶ白い雲、その下に舌状の市之瀬台地が、さらに下に甲府盆地を見下ろす風景が広がっています。
そして、3人の女の子たちの話題は、「今夜蛍を採りに行く約束について」だったようです。お友達の名はとみこさんとやすみさんですが、残念なことに、ご飯を食べてやすみさんを迎えに行くと頭が痛いと言って行かないことになってしまったようです。そこで、結局キミコちゃんのお兄さんも誘ってとみこさんと3人で蛍採りにでかけました。昭和26年当時の中野の棚田には夜になると蛍がいっぱい飛んでいて、お星さまのようにきれいだったことでしょう。
[「昭和26年キミコちゃんの絵日記・6月18日(月)晴」(中野上田家資料・南アルプス市教育委員会文化財課蔵)]
この絵は昭和26年当時に売られていた「ききょう」と「光り」という銘柄の煙草の箱の絵です。おかあさんとおばさんとで小麦を刈って、キミコちゃんとお兄さんでその小麦を運ぶお手伝いをしていたようですが、その後、キミコちゃんはお父さんに頼まれて、上市之瀬のタバコ屋さんに「ききょう」と「光り」を買いに行きました。彼女らしい繊細な観察眼で煙草のパッケージデザインを模写しています。
[「昭和26年キミコちゃんの絵日記・6月19日(火)晴」(中野上田家資料・南アルプス市教育委員会文化財課蔵)]
「ききょう」の箱(南アルプス市教育委員会文化財課収蔵資料)

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