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牛と馬の道具

 南アルプス市ふるさと文化伝承館では令和5年7月14日から12月20日まで、テーマ展『南アルプス山麓の古代牧』を開催しました。
 御勅使川扇状地での牧(牧場)の存在は、百々遺跡で発掘された出土資料によって、平安時代にさかのぼる可能性があると考えられていますが、江戸時代以降も牛馬利用の伝統は続いています。さらに、もっと身近な昭和30年代頃まで市内で使われていた民具をみることで、牛馬と市民との関わりを知ることができます。
[南アルプス市ふるさと文化伝承館で令和5年7月14日から12月20日まで開催された、テーマ展『南アルプス山麓の古代牧』における民具コーナー]


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巨摩地域では、木曽馬が昭和時代まで飼育されてきた実績があります。
[『南アルプス山麓の古代牧』展における民具コーナー]
 体高130㎝ほどの低身で頭が低く、お腹が大きくちょっとぷっくりしていて、太く短い首と耳が木曽馬の特徴的な体型です。また、丈夫で、引く力が強く、繁殖力もつよいという長所もありました。 南アルプス市有野で昭和25年頃に撮影された馬耕の様子の画像に写る馬もこの木曽馬だと思われます。
[「南アルプス市有野で昭和25年頃撮影の馬耕の様子」(名取栄一氏蔵 平成13年白根町発行『夢』より)]
[荷鞍(にぐら):馬・牛の背に荷物をのせるための鞍。枠木の内側に厚さ20センチほどの藁を芯に畳表や布でくるんだ鞍床を左右に結いつけている。]
[荷鞍(にぐら):街道を運ぶときは、1駄(40貫=150㎏)、山道で32貫=120㎏)ほど馬一頭で運べたという。]
[蹄鉄(ていてつ):馬の蹄(ひづめ)の底に打ち付けて蹄を保護し、滑りを防ぐための金具。]
[ハミ・轡(くつわ):馬の口にはめる金具で、手綱(たづな)を付けて馬を操るのに必要な道具。]
[口の中にくわえさせる銜(はみ)、その両端に付ける鉄鐶で構成される。古墳時代から使われてきた道具。]
[胸繋(ハモ):木材やそりなどの重い荷や、馬耕作業用の道具を引く際に、荷重のかかる馬の首の皮膚への負担を軽減するために用いる装着具。U字型に馬の首に装着する。]
[商品名のプレートには『角田式 製造元祖 萬年牛馬鞍 岡山角田農具製作所』とある。]
[「ハモを装着時の拡大図」(名取栄一氏蔵 平成13年白根町発行『夢』より)]
[尻枷(しりかせ):ハモから引いた引綱を両端に縛って牛馬の後方に位置させ、犂(すき)などの農具に取り付ける棒。具体的には、首にU字型に取り付けたハモの左右両側についている金属製の環のそれぞれに引綱を結び、後方に尻枷を装着する。さらに、尻枷の真ん中にある金属製のカギに引っかけて連結した荷や農具などを引かせる仕組み。]
[メコ(鐶):くさび部分を木材の端に打ち込み、材木を山から引き出したり、牛馬を柱につなぐときに用いる。]
[「尻枷にメコを連結した様子」メコの楔状部品を木材の端に打ち込めば、山から木材を運び出すことができる。]

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