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昭和16年 桜桃用保障紙使用許可申請書

昭和16年頃に西野村の果実農家が使用した「出荷用ラベル」。 果物出荷木箱一つ一つに貼られた、生産地や生産者が記名されたラベルは、出荷品の質を保障するもので、当時は「保障紙」と云っていたのですね。工業製品で言えば商標のようなものですから、そのデザインには目を引くような美しさがあります。
[昭和15年 桜桃用保障紙(西野功刀幹浩家資料・南アルプス市文化財課蔵)]


○博アーカイブはこちら
昭和16年と云えば、日本は戦時体制の物資不足で、そろそろ出荷木箱に貼っていた紙ラベルも作れなくなり、急ごしらえの摺り版(金型)にかまどの底の煤を集めて印字した時期がはじまる頃です。
[南アルプス市ふるさと文化伝承館で展示中の摺り版(在家塚中込家、野牛島藤巻家資料・南アルプス市文化財課蔵)]
そんな昭和16年5月5日に、「さくらんぼの出荷用ラベルを3000枚、使用を許可して欲しい」という申請を、保証責任西野信用販売購買利用組合が山梨県農産物検査所に提出しています。どういうことかと、その「事由」の項をみると、『前年度使用残物整理ノタメ』とありました。
 「戦時体制に歯向かっているわけではありませんが、ラベルの在庫がたくさんあって困るので、今年もまた使用したいのですがよろしいでしょうか?」とお伺いをたてたわけです。
[昭和16年 桜桃用保障紙使用許可申請書 1頁目(西野功刀幹浩家資料・南アルプス市文化財課蔵)]
この申請書の頁をめくると、見本として、そのラベルが添付してありました。
甲州を象徴する美しいシルエットの富士山をバックに、枝先の真っ赤なさくらんぼが5粒。とても美しいラベル絵ですね。紙の地色がこれまたレトロな感じのする温かみのある黄色で枠線のグリーンも素敵。
生産者名と『音羽園』という屋号も記されており、現在も果実農家をなさっているということですが、オリジナルラベルはもう使用されていないとのことです。
[昭和16年 桜桃用保障紙使用許可申請書 2頁目・3頁目(西野功刀幹浩家資料・南アルプス市文化財課蔵)]

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