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昭和37年10月31日野呂川橋渡り初め

なにやら大勢の正装した人々が山奥に造られた橋の上を歩いてくるこの写真。万国旗で飾られた橋の下には、建設作業に従事した人々の宿舎のようなものが何棟か建っており、切り拓かれたばかりの生々しい山肌が見えます。 
[昭和37年10月31日(西野功刀幹浩家資料より)]


○博アーカイブはこちら
こちらの写真では、神主さんを伴い、くす玉を割っている当時の県知事天野久氏の姿が写っています。いったいこれらの写真の示す場所や出来事は何なのか?
[昭和37年10月31日(西野功刀幹浩家資料より)]
手がかりは同じアルバムに挟まれていたこの新聞記事の切り抜きにありました。この新聞の記事見出しには『盛大に完工式 野呂川総合開発十一年の努力みのる』とあります。
掲載されている写真を拡大してみると、人々の行列の後ろ側に美しく立派なアーチ橋が架かっています。この橋は、南アルプス市芦安芦倉で現在も使用されている野呂川橋(のろがわはし)です。この場所は、野呂川広河原インフォメーションセンターの少し下流にあり、いまも南アルプス登山の玄関口である広河原へのアプローチを支えています。
昭和37年10月31日、この野呂川橋の完成により、南アルプス市から夜叉神峠を越えてくる野呂川林道(現山梨県営南アルプス林道)と早川町の奈良田方面から通じる西山電源開発道路(現山梨県道37号南アルプス公園線)とが、南アルプス市芦安芦倉でつながりました。これにより、野呂川入西方から早川町を経由して、南巨摩郡身延町下山まで至るルートが開通し、南アルプスに通じるスカイライン『白鳳渓谷』として売り出すことになったようです。
[昭和37年10月31日 三代夫婦の野呂川橋渡り初め記念撮影(西野功刀幹浩家資料より)]
新聞記事によると、白根町西野に住んでいた功刀家の三代の夫婦が渡り初めに招かれたとあります。
こちらの写真がその功刀家の人々です。三代どころか四代目の赤ちゃんも参加しています。
「三世代夫婦による橋の渡り初め」は、全国的に行われている行事のようですが、同居する一家に三代の夫婦が元気に暮らしていることは珍しいので、これにあやかって、新しくできた橋も壊れることなく永続して欲しいとの願いが込められているようです。ちなみに南アルプス市域では昭和8年にも「西郡果実郷の父」とよばれる西野の小野要三郎一家による鉄筋コンクリート化された開国橋の渡り初めが行われています。
[昭和37年10月31日 三代夫婦の野呂川橋渡り初め記念撮影(西野功刀幹浩家資料より)]
こちらが2022年7月に撮影された野呂川橋の写真。マイカー規制がかかっていますが、登山シーズンの6月中旬以降から11月上旬までバスが運行されるそうなので、ぜひ野呂川橋をまで足を運んでみてください。
[令和4年7月の野呂川橋]

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