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縞見本帳から見える明治の女たちの生活

縞見本帳(しまみほんちょう)とは、縞織物の端切れを貼った帳面です。女たちが家族用に作る手織りには、縞の太さや配色の組み合わせにより無数のデザインが可能であるため、着る人の性別・年齢・着用場面に合わせて、様々な縞柄が各家で生みだされました。織った縞は、反故紙を綴じた帳面に貼って見本帳として、次に織る時の覚えにしました。また、良い縞を織った人の縞見本帳は貸し出されたりもしたそうです。


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日々の暮らしにかかるお金を書き留めた忙しそうな字の上に、軽やかな縞の端切れが点々と、しかし何かしら秩序だって貼られているのは、まるで楽譜のよう。頁によっては、びっしりと布が貼り込まれているのもあって、バリエーション豊富な明治の女たちの生活を物語ります。
綿を作って紡いで、紺屋さんに染めてもらった糸を、機織りして布にして、仕立てて着物にする。そんな、気の遠くなるほど凄いことを、数ある家事の一つとして普通にこなしていた昔の女たち。彼女らの聡明さと、縞の柄を集めて愉しむかわいらしさの両方が存分に表現されています。
布を張る台紙となっていた明治30年頃の金銭出納の記録も、たいへん興味深いものでした。こちらの縞見本帳は甲西地区川上の浅野家から寄贈されたものでしたので、藍屋さんらしく、藍玉五俵とか営業税などの家業にかかわる出金の記録も書かれていましたし、「チリメンボシ」や「酒」「ソウメン」などの食品購入の記載や、「糸ホカシチン」「糸取リチン」「紺屋ソメチン」など、機織りする前段階の部分を外注した際の金額も書かれていて、明治の女たちの生活を感覚的に味わうことの出来る大変貴重なものです。

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