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14.行き交うヒトとモノ

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戦争と摺り版(果実出荷木箱印字用金型)

南アルプス市文化財課でで20点以上収蔵している「摺り版(すりばん)[果実出荷木箱印字用金型]」。


○博アーカイブはこちら
80歳になられるという市内西野在住の方からの聴き取りによると

『摺り版が登場したのは昭和16年以降だった。戦争体制のもと物資不足で、出荷木箱に貼っていた紙ラベルがつくれなくなり、仕方なくあり合わせのブリキやトタンの切れ端を切り抜いて作った摺り版を使うようになった。戦後も物資不足が続いたから、昭和25、6年頃までは皆使っていたし、昭和30年代を過ぎてもそのまま使う家もあった』

とのこと。
[戦前に(昭和15年くらいまで)使われていた紙ラベル(戦前のものは文字が右から左へと読める)]
印字するための墨はどうやって手に入れたか?の疑問については、『かまどに杉の葉などの煤の出やすい植物を燃し、なべ釜の底にこびりついた煤を刷毛とたわしで集めて水に溶いて使った』という人、『煙突掃除をして集めた煤を使った』という方がいらっしゃいました。
[墨の跡の残る摺り版]
「摺り版」は、戦争によって起こった未曾有の物資不足を生活の知恵で乗り越えた先人の姿を物語る資料でもあったのです。
[戦前に出荷されたメロンの印字のある木箱と戦後の「西野の桃」のラベル付きの木箱]

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