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南プスの岩船地蔵さんめぐり

芦安地区で大切に祀られている「お船地蔵さん」は、立派な木堂の中で他の石造物とともに赤い頭巾と前掛けをつけています。お堂前の急な階段を上って一番右端、前掛けの布の下をよく見ると、一躰だけ御舟の上にある蓮座に立っているので、すぐにわかります。「お船地蔵さん」の脇には丸石も置かれていて、この地蔵堂は甲州伝統の丸石信仰も見ることができます。
[1芦安地区芦倉237「お船地蔵さん」(令和5年12月14日撮影)]


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このような御舟に乗ったお地蔵様は、「岩船地蔵」と呼ばれることも多く、享保四年(1719)造立のものが大多数なのだそうです。岩船地蔵の造立は、江戸時代の享保四年に関東地方西部から中部地方東部にかけて流行した岩船地蔵信仰に由来するためです。

岩船地蔵信仰とは、現在の栃木県栃木市岩舟町にある岩船山高勝寺から、その周辺の岩を材料に造られた岩船地蔵が送り出され、村から村へ巡っていくうちに信仰を伝えていくもので、『岩船地蔵が送られてきた村では、それを迎えて華やかな服装をし、にぎやかに囃し立て、念仏をし、近隣の村々まで巡った(山梨県文化財ガイドHP「上積翠寺の岩船地蔵」より)』とあります。そして、『岩船地蔵が巡ってきた村々では、その記念として石造の岩船地蔵を造り、路傍の仏として祀った。』のだそうです。山梨県内では65躰の舟に乗ったお地蔵さまがあるそう(上記県文化財ガイドHPより)で、当地での流行の勢いが凄まじいものであったことが判っています。南アルプス市内では9躰を確認しています。
[1芦安地区芦倉237「お船地蔵さん」(令和5年12月14日撮影)]
[2白根地区在家塚 薬王寺内 (令和5年12月14日撮影)]


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[3白根地区在家塚 紺屋村舟乗地蔵(令和2年10月5日撮影)]


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[4・5櫛形地区小笠原 源然寺の2躰(令和2年10月29日撮影)]


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[6櫛形地区上宮地 長昌院内 (令和5年12月14日撮影)]


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[6櫛形地区上宮地 長昌院内 (令和5年12月14日撮影)]
[『中巨摩の石造文化財』平成7年 中巨摩郡文化協会連合会郷土研究部 には、まだ破損していない状態の長昌院内船乗り地蔵さんの画像がある]
[7・8甲西地区秋山 光昌寺前の2躰(令和3年12月20日撮影 左奥のお地蔵さまは舟から落ちた状態)]


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岩船地蔵(船乗り地蔵)さんは、造られた年が享保四年とそれに続く数年と限られていることから、その形を見ただけで、およそ300年前のものとすぐわかる興味深い石造物です。

文献(1999岡野「山梨県の岩船地蔵」)によると、甲府盆地内に存在する岩船地蔵に刻まれた銘文の年記を分析した結果、甲斐国への主要な伝来ルートとして、享保4年3月下旬に信州から北巨摩地域に流入し、甲府周辺には享保4年7月に届き、順次甲府周辺の各村に広まったことがわかるそうです。

南アルプス市の9躰の場合、年記が判明しているのは小笠原源然寺の享保4年6月24日と上宮地長昌院の享保4年10月●日の2地点です。6月と10月ですから、享保4年3月以降に信州からの流入で岩船信仰が広まったという説に矛盾はありません。
[9甲西地区湯沢 「船乗り地蔵さん」(令和3年12月3日撮影)]


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また、南アルプス市域は水害の多かった地域ですので、御舟にのったお地蔵さんは水難除けとしての願望も受け、岩船信仰の流行が終わった後も当地の民に長く親しまれてきました。湯沢の船乗り地蔵さんのように、病気平癒や旅の安全を願う対象として大切にされてきた経緯もあります。

どうぞ、デジタル地球儀を使って地図上で場所も確認できる「南アルプス市ふるさと○○博物館『〇博アーカイブ』をご利用いただき、その所在分布なども愉しんでいただけると幸いです。

参考文献:
『中巨摩の石造文化財』平成7年 中巨摩郡文化協会連合会郷土研究部
『山梨県の岩船地蔵』1999 岡野秀典 山梨考古学論集Ⅳ
[「南アルプス市の岩船地蔵(舟乗り地蔵)一覧表」南アルプス市文化財課 〇博調査員作成]

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